「北斗プライムビーフ」の商標登録を自分でやってみたよ。(函館で自ら商標登録するやり方を詳しく解説!)

おぐにビーフWEB担当三上です。

今回はタイトルにあるとおり、商標登録を専門の人に頼まず、自分でやってみようというコーナーです(笑)

じつはおぐにビーフ、↓のロゴを平成24年に商標登録しております。

詳細は↑のリンクから商標メニューにして「おぐに」で検索してみてください!

自分で商標登録を試みた”いきさつ”

さて、自社のロゴの権利は守りたいし、他人に勝手に使われるわけにはいきませんが、商標登録するとなると自分でやろうと思いませんよね。

なので、通常は手続きを専門に行う業者さんにお願いする必要がありました。

しかしながら、そこにも複数の社員がいて、経験や資格に基づく、たくさんの審査・検証もしながら、その人たち自身も”オマンマ”の分を稼がなくてはならないため、安くはありません。

上記のロゴの商標登録はウン十万円がかかったようで、まあしかし、相場的には普通の金額であると思われます。

そんな折り、平成27年6月某日、まだ普通の友人関係であったおぐに社長から一本の電話が。

パソコンのメンテナンスなど、ちょっとした困りごとの相談をたまに受けていましたが、新たなブランド牛を育成しているというお話。

実はロゴも出来ていると。

それをおぐに社長がおもむろに、【ここからは会話形式でお楽しみください】
おぐに社長「自力で(三上が)商標登録出来ないか?」
三上「えっ‥!?できないことも無いと思うけど‥」
おぐに社長「いいロゴ作ってもらったんだけど、前に商標登録したとき、結構な額だったんだよ!自分でできれば安くならないかな?」
三上「オレ、前に特許とろうと思って特許申請の手続きをやったことはあるけど‥(結局提出はしてない)」
三上「ちょっと調べてみるわ!」

という、無茶ぶりから始まっています。

乗っちゃう私もおかしいのですがね。

ちなみにワタクシ、将来の夢が「発明家」だったので、ドクター中松を敬愛しています(笑)

こんな↓記事を書いていたことも。

愛すべき人物、ドクター中松に学ぶ情報操作術

というわけで、自分で商標登録可能か探ってみました。

自分で商標登録をやった人はいるのか?

《参考にした記事》

けっこう自分でやる人もいるみたい。インターネットの無かった時代は自分では無理だったでしょうね。

さて、これらを読んでみると、そこまで面倒ではないと感じました。

まず最初にやることは、自分の登録したい商標がどの区分に該当するか調べないといけません。

区分とは何なのか?

自分の出したい商標のジャンルのことです。次の表を見てもらうと分かりやすいですが、(特許庁ホームページから抜粋)

今回登録する「北斗プライムビーフ」は牛肉のブランドロゴと名前なので「第29類:動物性の食品及び加工した野菜その他の食用園芸作物」に該当することがわかります。

類似商標が無いか調べよう!

多くのサイトでは「特許電子図書館(IPDL)」で検索して調べるように記載がありますが「特許電子図書館(IPDL)」は既にサービスの提供を終了したサイトとなっております。

現在は特許情報プラットフォームが実質その後継となっており、こちらで商標を検索することができます。

赤枠のところで”商標”に切り替えまして、まずは類似商標がないかいろいろなワードで調べます。「プライム」「プライムビーフ」「おぐにビーフ」など。

「プライムビーフ」で検索すると1件該当があり、ビビリましたが、区分は「第45類:飲食物の提供及び宿泊施設の提供」で、食べ物屋さんの名前やロゴを登録する区分でした!(ちなみにこのお店、「WAGYU DELI A.FIVE」という神奈川県のハンバーガー屋さんみたいですね。残念ながらすでに閉店してるようです💦)

無事、同じ区分で登録が無いことがわかったら申請書の作成となりますが、まずは、上記の検索システムを使って、同じような商標を見てみることもしましょう!

有名どころの「松阪牛」「神戸牛」や、この辺だと「はこだて和牛」「大沼牛」「白老牛」などに目を通し、牛肉のブランド登録の傾向を把握しておいたほうがいいかもしれません。

どこの組織で申請したかわかるし、記載方法がけっこうバラバラなので比べてみるだけでちょっと面白いかも!?

さて、傾向がなんとなくつかめましたら、実際に出願書類を作成していきます。

出願書類の作成

独立行政法人「工業所有権情報・研修館」で発行している「商標登録出願書類の書き方ガイド」(PDF)がわかりやすかったです。本当にやってみようと思う人は一度目を通した方がいいですよ。

そしてその中でポータルサイトが紹介されていますが、「知的財産相談・支援ポータルサイト」のサイトがけっこう内容がいいです。Q&A形式でわかりやすく説明されていて、とっつきやすい!

しかも動画のページまであって、かなり親切丁寧に出願方法を教えてくれます。「かんたん商標出願講座」

もうここのサイト見れば、たいていの人は自分で商標出願できると思うよ。

だけどこういった公的な優良サイトって、関連キーワードで検索しても検索結果の上の方に出てこないので見逃したりするんですよね。そこはもう少しGoogleに頑張ってもらうとして。

そして同じサイト内から申請書類のひな形もダウンロードできます!しんせつ!

まずは、ほかの類似商標も参考にしながら項目を埋めていきましょう!

けっこう項目って少ないですよね。実際こんなもんですよ!自分でできそうな気しません?(笑)

送る準備

書類もできたところで、提出の準備に進むわけですが、じつは、インターネットを使った出願(電子出願)もできるんですよね。

だけど今回は、プリンタで紙に印刷し、郵送で提出しています。(どうして電子出願しなかったかは、次の項目で説明します。)

さて、先ほどの図にあるように、出願用紙の上部には印紙を貼る欄があります。

ここに貼る印紙、「特許印紙」といいまして、契約書や領収証で使う収入印紙とは違うものなんです!

収入印紙なら郵便局やコンビニ(200円のみの場合が多い)でも買える、割とメジャーな印紙ですが、「特許印紙」とはどこで買えるんだ?

ネットで調べると郵便局だけらしい。(あとは特許庁)

私はすぐに近くの郵便局に向かいました。

三上「すいません。特許印紙がほしいんですが。」

郵便局員「???‥‥収入印紙ですか?」

三上「いや!特許印紙です!商標登録出願に使うんですが。郵便局で売ってると聞いたんですけど。」

郵便局員「えっ!?‥‥(慌てて奥のエライっぽい人に聞きに行く)」

‥‥しばらくして‥‥

エライっぽい郵便局員「すいません。うちでは扱ってないんですよ。函館だと美原の北郵便局にあると思います。電話番号教えますのでそちらに確認してみてください。」

三上「はァ」

‥‥函館北郵便局に電話してみる‥‥

三上「特許印紙ほしいんですがそちらにありますか?」

電話口の郵便局員「特許印紙ですか?少々お待ちください。(誰かに確認に行ってるっぽい)」

電話口の郵便局員「お待たせしました。こちらで販売しておりますが、在庫が十分ではないんですよね。ちなみにおいくら分ですか?」

三上「12,000円分です。」

電話口の郵便局員「それでしたらこれからでもお渡しできます。いつ頃来られますか?」

三上「30分後くらいになりそうです。」

電話口の郵便局員「それなら大丈夫です。ご用意してお待ちしておりますので、窓口でおっしゃってください。」

というわけで、郵便局員でも限られたごく一部の人しか知らない、じゃなくて、おそらくあまり一般で流通することのない印紙のため、めったに出ることがないんでしょう。すんなりと行かなかったことを考えると。

さっそく、函館北郵便局に行きました!

そして実際に購入した印紙がこれだ!

お~!なんかちょっとカッコいい~!!

買うに至るまでちょっと苦労したため、手に取った時は感動した!

さて、それを出願用紙の所定の場所に張り付けまして、特許庁長官に送り付けます!

あて先はこちら↓

〒100-8915 東京都千代田区霞が関3丁目4番3号  特許庁長官 宛
宛名面(表面)余白に「商標登録願 在中」と記載して、できるだけ書留・簡易書留郵便・特定記録郵便で提出してください

記載の通りに封筒書きし、簡易書留で送付しました。

《参考》電子出願について

さて、先ほどインターネットによる電子出願もあると書いたので説明します。

電子出願はいろいろな手間やコストダウンにつながります。具体的に言うと、紙に書類を印刷したり、封筒にあて名を書いたり、また、それを提出するための簡易書留の郵便料もかかりません。

しかも、特許庁では電子出願の方がデジタルデータで来るため、審査までのスピードも違うと思われ、あちらさんとしてはラクだと思います。(ロゴなどの図形は印刷することで劣化するリスクもある)

そのため、電子出願を推奨しており、費用面でのさらなる恩恵が受けられます。というより、紙での書類提出にした場合、手数料が多く払わされるシステムになってます。

「電子化手数料」という名の下で、基本料が1,200円にプラス、紙一枚につき700円払わなければなりません。

なので、出願書類が1枚で済んだら1,200円+700円×1枚=1,900円。2枚だったら1,200円+700円×2枚=2,600円という感じで紙提出の場合、追加で費用負担があります。

しかし、それでも今回は紙提出を選択しました。それはなぜかというと~!

特許庁の「電子出願ソフトサポートサイト」なるものがあります。ここから電子出願を進めていくわけですが‥。

事前準備でこれです。どうみても「うわっ!めんどくせっ!」って思っちゃいますよね。

しかし、費用負担を少しでも抑えられるのならやろうかなと思いますよね!?

ところが~!一番の曲者が最初のステップ、電子証明書にあります!

これを取得しなければならないんですが、じつはこれ、手数料がかかるんです!

法務省発行の「電子証明書の取得方法について」(PDF)というパンフレットがあります。

また「商業登記電子証明書はじめてガイド」(PDF)で概要がわかるようになっています。

これに電子証明書発行手数料の記載があります。

一番最低の3か月で2,500円なら「電子化手数料」の方が安いじゃん!

となります(笑)

まあ、この証明を取る意味は、商標登録だけではなく、↓のメニューでも使えるようなので、これらの使用目的ですでに証明を取得済みであればメリットありますね。

e-Taxなんかはやってる人もいるんじゃないだろうか?そんな人には電子出願はオススメですね。

毎月のように商標出願する業態とかならいいんでしょうけど、おぐにビーフの場合はまた次あるかもわかりませんしね。

というわけで、電子出願を選択しなかった理由はこんなことです。

「電子化手数料」の納付

そんなことで、平成29年7月5日に商標出願書類を送付しまして、数日後「電子化手数料」の払込用紙が送られてきます。

それを支払ったあとは、ひたすら待ちます!

封筒が届きました

届いたのは平成30年3月11日。

なんと!9か月もかかっています!

ネットではだいたい半年とか書いていたので、私と社長はよく「まだ来ないな~」と言っていました。

書類に不備があったのか、電子化手数料の払込用紙は来てたので届いてないわけではないと思うし‥。

インターネットでは進歩状況を調べることもできますが、いつ見ても「審査中」から変わりもしない。

「北斗プライムビーフ」も”商標出願中”というのもカッコ悪い。そんなモヤモヤしていたところに届いた、特許庁の封筒。

ドキドキしながら開封します。ちなみにもうこの頃には三上はおぐにビーフにいます。

中には6枚のA4判の紙。

1枚はピンクで「発送目録」とあります。

次に「登録査定」、そして「ファイル訂正通知書」が2枚続きます。

ほかには、登録料の納付案内と登録納付書の記載方法が書いた紙が入ってました。

まずは、「ファイル訂正通知書」

訂正ってなんだ!また時間かかるのか!と恐る恐る読んでみると、【指定商品(指定役務)】の項目の中の読点「、」をコンマ「,」に訂正したとのこと。

うわ~!細かい!そんなところまで!ということで大した問題ではなかったので胸をなでおろします。

そして「登録査定」

たぶんこれが査定の結果通知だと思うんですが、「見事!査定を通過しました!」的な文章がなく、登録番号などの無機質な内容となっております。

最後に「経済産業事務官」のハンコ付きで「ファイルに記録されている事項と相違ないことを認証する。」て書いてて、いいのかわるいのか判断がつきにくい内容です。

本当の最後に、「注意:この書面を受け取った日から30日以内に登録料の納付が必要です。」とあるので、これで何となく査定は通ったんだなと理解します。

これで、別紙の手数料の納付の書類を見ながら納付書の作成に取り掛かれます。

特許庁のサイトからも様式をダウンロードできます。

記載内容はこれまた大したボリュームではありません。最初に提出した書類とあまり変わらないくらいです。

そして商標権を保有できるのは10年であり、10年分の商標登録料を納めなければなりません。

5年分での2回に分けで払うことも可能です。今回は10年分一括納付します。

費用は一登録につき28,200円となっています。

ここでまた、「特許印紙」が登場します。

事前に「函館北郵便局」に電話しました。

今回は28,200円の特許印紙の在庫があるようでしたが、無い可能性もあるそうで(在庫をあまり置かない)使う日の3日前に連絡くれれば確実に用意できるそうです。

複数登録など、金額が大きくなる場合は前もって3日前に連絡して用意をしてもらうのが良いです。

なお、ほかには新川町にある「函館中央郵便局」、湯川町にある「函館東郵便局」でも「特許印紙」の取り扱いをしているようです。

急ぎの場合は3局周ることで、ほしい額の「特許印紙」をゲットすることができるかもしれません。

それでは、必要事項記載して持って行った納付書に印紙を貼ります。

なんか、壮観ですね。

さて、これを封筒に入れまして、簡易書留で「特許庁長官」あてに送ります。

受領書が届きました

数日後、「受領書」と記載されたハガキが届きました。

内容は、書類届いたよ!手数料も受領したよ!という通知です。

商標登録証が届きました

さらに数日後、ついに!待ちに待った「商標登録証」が届いたのです!

道のりは長かったですが、自分で「商標登録」をすることができました!

届いた瞬間「よっしゃー!」と思わず声に出して叫びました!やっぱり自分でやると嬉しいものですね!

自分で商標登録するコストはいくら?

  1. 最初の「商標登録願」提出時の特許印紙・・・12,000円
  2. 1の送付用簡易書留・・・430円
  3. 電子化手数料(1枚の場合)・・・1,900円
  4. 「商標登録料納付書」提出時の特許印紙・・・28,200円
  5. 4の送付用簡易書留・・・430円

というわけで、自分で商標登録をする場合にかかる費用は、全部で42,960円ということになりました!

これであなたの商標は10年間守られます!

商標出願は以外にハードルは高くないです。みなさんも自分でやってみてはいかがでしょうか?

おまけ

それでも不安な方は、今はITの進歩でオンラインで代行してくれる企業が出てきていますので、そちらでやってみたらいかがでしょうか?

こんなサービスがあるようです。「COTOBOX」キャッチフレーズが「誰でも商標登録がオンラインで」

1登録の料金が5年分で48,400円と、自分でやるよりは高くなりますが、既存業者に頼むよりは、はるかに安く済むと思われます。

「COTOBOX」の回し者ではありませんが、今後はこういった、直接打ち合わせしたり電話することもなく済んでしまうサービスがますます増えて行くと思われます。

起業する場合などの開業届の作成や会計ソフトなどをネットで管理できる、freeeという会社もユーザーを伸ばしていますしね。

逆に、いままでそれら手続き代行を生業としてきた人は、今後どんどん厳しくなるでしょう。

しかし時代の変化とはそういうものです。これからも新たなサービスについていけるよう、頭を柔らかくしておかねばなりませんね。

特にこれからの子供たちには、IT知識が増えるほど、こういった例で経費も下げることができるということを学んでほしいと思います。

というわけで、無事商標登録されました「北斗プライムビーフ」!

どんどん表に出して、たくさんの人に味わっていただきたいと思います!!!